かわや(旧よろずや)のブログ

好きな乃木坂、映画、漫画などについて語ります。

7枚目シングル『バレッタ』~その壱 選抜発表とMV

 

なんで今頃『バレッタ』なのかというと、単に自分が乃木坂にハマったきっかけが「不遇の2期生」というキーワードだったわけで、7枚目シングル『バレッタ』の選抜発表の異様な雰囲気はかなり鮮烈な印象を残したわけです。

そこからの乃木坂の動きを追っていくうちに面白くなって乃木坂にハマったのですが、乃木坂ファンとしては、ちょっと変わり種かもしれません。

今回の記事では、7枚目シングル『バレッタ』の選抜発表の前編、MVの感想(考察?)を書いていきます。後編では選抜発表の後編、センター堀さんのその後について書くつもりです。

 

7枚目シングル『バレッタ』の選抜発表

2013年10月7日放映の「乃木坂ってどこ」の第104回目で7枚目シングル『バレッタ』の選抜発表が行われたときの様子と感想を簡単に紹介します。

 

「乃木坂ってどこ」の選抜発表、それから、その後継番組の「乃木坂工事中」の20枚目シングルくらいまでの選抜発表では、選抜として選ばれた人が前に立ってバナナマンさんと短く会話を交わしてから、選抜メンバーが並ぶひな壇に立つという方式で発表が行われていました。

今では番組の最後にちょっと選抜メンバーのコメントが紹介されるだけですけど。

メンバーの成長ぶりや、メンバーとバナナマンさんとのよい関係性が見れたので、前の選抜発表の方が好きでしたね。

 

さて、本題の7枚目シングルの選抜発表です。

 

選抜発表の話に入る前に、『バレッタ』までの大まかな流れを追ってみましょう。

1~5枚目は生駒里奈さんがセンターで、生駒さんを中心に若いメンバーがフロントに出て、それを御三家(白石麻衣さん、橋本奈々未さん、松村沙友里さん)を中心とするお姉さんチームが2列目を固めるという基本路線を採っていたのですが、6枚目の『ガールズルール』では一転して、お姉さんチームがフロントに上がるという変化が起きました。

1枚目から7枚目までのシングル売上は下の表のようになっています。

 


売上はそれまで順調に伸びていたようです。4枚目から5枚目にかけての売上が伸び悩んでいるようですが、ただ、ここだけを見て頭打ちになったと判断するのは早計のようにも見えるので、変化の要因を売上以外に求めることにします。

 

 

実際、この当時の人気は、握手会の完売状況で見ると、御三家が圧倒的に強く、それを秋元真夏さんや西野七瀬などのメンバーが追いかける状態になっていました。生駒さんを含めたフロント陣営の人気はそれほどでもなかったというのが実情のようです。

ですから、そんな人気の高さを背景に、満を持して御三家がフロントに上がったというところではないかと思います。

 

1枚目から6枚目まで一貫して16人編成だったのが、7枚目では17人編成。選抜の人数を聞いて、メンバーがざわざわします。

編成人数もさることながら、ここで起きた大きなポイントは、

  • センターを固定化するのを止めた
  • アンダーから選抜に抜擢する流れが始まった
  • センターに研究生だった堀未央奈さんが抜擢された

 

ということになると思います。

 

センターを固定化するのを止めたということは、マンネリ化を避けたということでしょうか。

固定化というのはビジネス的には旨味が減るような気がします。

むしろ、次のセンターが誰になるのかなというドキドキ感とか、次のセンターになれるように推してみようかなとか、ファン層の気持ちを刺激する方が、ファンにとってもビジネスにとっても旨味があるでしょうから。

センター固定路線もそろそろいいかな、という運営側の判断もあったのかもしれません。

 

 

アンダーから選抜に引き抜くという流れも7枚目から始まりました。この動きは、10枚目あたりまで続きます。

7枚目では、アンダーから衛藤美彩さん、川後陽菜さん、中元日芽香さんの3人が選抜に選ばれます。

ただ、この流れも、もろ手を挙げて喜んでもいられないようで、7枚目で選抜に選ばれた3人のうち、衛藤さんはその後、選抜常連組になりましたが、川後さんはこれか唯一の選抜経験、中元さんは都合3回選抜に選ばれただけで、明暗がはっきり分かれています。

こうして引き抜かれた人たちの中には、人気の指標の1つである当時の握手会の状況から見て成績が芳しくなかった人も多く、多分に温情が入っているように見えます。

 

好意的に解釈すれば、「なかなか日の目を見ないメンバーにチャンスを与えた」という見方もできますが、嫌な見方をすれば、これから1期生の立場を脅かそうとしている2期生に対する警戒感、拒否反応、不満をガス抜きするため、という見方もできます。嫌な見方ですけど。

『バレッタ』の発売時点で1期生の在籍人数は30人、そのうち5人が選抜経験なしです。

そのような状況の中で2期生が入ってきて、しかも選抜メンバーとして引き抜かれると、1期生の立場がなくなってしまいますから。当然、2期生をよく思っていない人もいたでしょう。

 

そして、センターに2期生研究生が抜擢された話なんですが、ちょっと長くなりそうなので、選抜発表の様子は続編に回し、『バレッタ』のMVに話を移します。

続編では、選抜発表の異様な空気、その後の堀さんの動きを追いながら自分なりの感想を書いていきたいと思います。



7枚目シングル『バレッタ』のMV

堀さんのセンター抜擢と同様に、7枚目シングルのMVもなかなか衝撃的な内容です。

YouTubeで公開されているバージョンはShortバージョンです。

www.youtube.com

曲、歌詞、ダンスはよくわからないのでドラマに着目して見ていきたいと思います。

 

まず、公開されているバージョンがShortバージョンであるため、ドラマが尻切れトンボになっています。

その後の状況については、こちらの公開動画でも秋元真夏さんとかが説明していますので、そちらも参考にしてください。

 



簡単にFullバージョンについて解説します。

Shortバージョンでは、人をマネキン(剥製?)にして売りさばくという組織に捉われた堀さんを、白石さんを初めとする仲間たちが組織に殴り込むというところで終わります。

この後、銃撃戦になって組織を全滅させます。堀さんを解放し、やあよかったよかったとみんなで帰るところで白石さんが後ろから銃で撃たれます。撃ったのは堀さん、「だって、こうするしかないじゃない」。そして、銃が一発鳴り響くところでMVは終わります。

 

これはかなり衝撃的なラストですね。

まあ、アイドルのMVらしからぬバッドエンドということもありますが、白石さんの後任のセンターが白石さんを後ろから銃で撃ちぬくって、ただでさえナーバスになっている白石さんのファンの神経、逆なでしてませんか?

当時は乃木坂に関心がなかったため、そのときの空気感がわからないのですが、ネットで調べる限りでは堀さんのアンチが一杯ついたということらしいです。客観的な資料で確認できないため、真偽のほどは定かではないのですが、もしそのとおりだったとしたら、さもありなんという話ですね。

堀さんの苦難の歴史は、こんな感じでスタートします。



さて、MVの話の流れを追っていきたいのですが、実際のところ、パズルのピースを半分以上抜かれたようなMVになっていて、想像力でいろいろと補わなくてはならない部分がたくさんあるストーリーになっています。

つまり、人それぞれで解釈の幅が広くなるってことですね。

まあ何が正解なのかはわからないのですが、自分の中で一番有力な説は次のとおりです。

 

  • 白石さんをリーダーとする組織(「セーラー軍団」と仮称)は、人をマネキン化して売りさばく組織(「マネキン組織」と仮称)との間で契約を結び、マネキンの素材にする女子高生を手引きする代わりに莫大な報酬を得ている。
  • セーラー軍団の活動内容は不明だが、銃器を使っているのだから、おそらく非合法的な活動(要人暗殺とか)をしている。
  • 堀さんが「素材」を渡す役を担っているが、「素材」の調達ができなかった保険のために、堀さん自身が「素材」となる、という契約になっている。
  • 堀さんが素材にされる危険が迫ったときに堀さんを助け出せるように、トイレに携帯電話を隠している。この携帯から短く「助けて」というメッセージを出したときは、堀さんに危険が迫っていることを察知し、マネキン組織に殴りこんで救い出すという手はずになっている。
  • ラストシーンが謎だらけ。辻褄の合う説明が不可能?

 

では、なんでそう思ったのか、ストーリーを追いながら説明していきますね。

 

まずは伊藤万理華さんがマネキン組織に捉われて、組織のボスに注射をうたれてマネキンになってしまうところから始まります。

万理華さんをマネキンにした後、ボスは後ろ向きの女性=堀さんに「もっといい素材を集めてこい」と恫喝します。

この後ろ向きの女性が堀さんであることは、さきの動画で秋元真夏さんとかが堀さんであることを明かしています。

このときの堀さんはずっと後ろ向きで、横から顔が映ったときも顔の下半分しか見えないため表情がわからないのですが、おそらくずっと後ろ向きで「素材」の方をまったく見ていなかったのでしょう。罪悪感のために直視できなかったかもしれませんが、よくわかりません。唇も映りますが、特に表情らしきものはありません。

 

MVの中では終始一貫して堀さんは無表情です。

それと、マネキンにされてしまった女の子たちも無表情です。

4枚目の『制服のマネキン』とも関係があるような筋立てなんですが、なんかいろいろと妄想を掻き立てる演出ですね。

たとえば、実はみんな元は「制服を着たマネキン」で、命を与えられたが、死ぬとまたマネキンに戻るという、そんな不思議な世界観もあるような、ないような。

 

なんで、この現場に堀さんがいるのかというと、マネキン組織の末端として「素材」となる女性を手引きする役目をしていたのではないかと思います。

ボスが「いい素材探してこい」って堀さんを脅しているように見えますので、まずこれは確かではないかと思います。

何かうまいことを持ちかけて組織に連れ込む役目をしているんでしょうかね。同じ女子高生であれば、少なくとも男性が近付くよりも警戒心は弱いでしょうから、手引きしやすいとは思います。

「素材」を組織に渡し、その代金として報酬を得ていたということではないかと。

冒頭の方でボスが自分のことを「マエストロ」と呼べと部下に言っていたので、美術界の巨匠並みの代価を得ていたはずです。もともとが巨額のお金でしょうから、その一部を分け前としてもらったとしても、それなりに大きな額のはずです。

それがセーラー軍団の資金源となっていた、というのが一番自然な流れですね、自分の中では。

 

セーラー軍団が、あれだけの銃器を持ち、それを十分に使いこなせるほど熟練しているということは、それだけお金をかけていたということでしょう。

しかし、若い女の子が普通に生活していて得られるお金じゃありませんね。

 

もちろん、セーラー軍団が独自にやばい仕事をして荒稼ぎしているとも考えられます。

ただ、そうすると、なんで堀さんがマネキン組織に出張って下働きしていたのか(後述)、いまいち理由がはっきりしません。

 

さて、ボスに「素材集めてこい」と恫喝された堀さんですが、素材お披露目のステージに立たされて、次の「素材」になることが発表されます。

なぜ、堀さんが素材にならなければならなかったのでしょうか。

まあ、これもよくわからないのですが、自分の中では、満足いく素材が集められなかったときのために保険として堀さん自身が素材になるという契約を結んでいた、という説が一番有力です。

 

ステージに立たされた後、トイレに行った堀さん、トイレに隠してあった携帯電話から「助けて」と短いメッセージを白石さんの携帯に送ります。

場所などの情報がなく、単に「助けて」というメッセージだけです。

でも、それで事情がわかってしまうということは、あらかじめ設定されていた決まりがあったはずです。

最低限、堀さんがマネキン組織にいること、それから危険(おそらく素材にされる危険)に曝されていることがわかっていて、「助けて」メッセージが送られてきたら、彼女がどういう状況にあるか伝わるようになっていたということですね。

そして、そうなる危険があることがわかっていたから、そのときのためにトイレに携帯を隠していた、ということになります。

この決まりの前提として、堀さんを救出できるという目算も立っていることになります。

これは、両組織の戦闘ぶりを見れば簡単にわかる話です。戦力差が圧倒的です。おそらくセーラー軍団は、普段から実戦を積んでいて、銃器扱いのスキルを磨いていたことになります。逆に、マネキン組織は実戦経験が乏しい、戦闘的に無能な集団ということになります。

まあ、トイレに入った堀さんを「なんか怪しいことしてんじゃないだろうな」と疑いはするものの、何も調べようとしないお馬鹿さ加減がその辺の無能さを表しているように思います。

ということなので、殴り込みに行けば、絶対に勝つという勝算があったということでしょう。

 

セーラー軍団とマネキン組織は、そういう、いつ壊れてもおかしくない共存関係にあったってことになりますね。

 

ちなみに、堀さんから白石さんに送られたメールの日付、10月15日になっていましたが、堀さんの誕生日ですね。

 

いよいよセーラー軍団が殴り込みに入ります。

マネキン組織の人間がセーラー軍団に「あれあれ、どうしたの?」と応対します。

この喋りっぷりからは、お互いに知り合いの関係であること、対立関係にないことがわかります。

対立関係にあったら、こんなぬるい対応はしませんよね。この辺も、共通の利益のためにとりあえず共存している関係と見る根拠です。

ただ、お互いが上下関係にあるのか、まったく別組織なのかは不明です。

 

そして、戦闘。ばったばったとやられていく組織の人たち。

 

ラストシーン。

敵をやっつけたセーラー軍団は、縄で縛られた堀さんを解放します。

そのときの堀さんの表情は相変わらず無表情です。

そして、みんなで帰りましょうモードになっている中、白石さんを堀さんが背後から撃ち抜きます。

銃を撃った後の堀さんが映りますが、このときの表情に注目です。まばたき、表情が一切ありません。

たとえば、こんな境遇に立たせた白石さんを恨んでいるのであれば、恨みが感情として表れるはずです。

あるいは、こんな非人道的なビジネスに終止符を打ちたかったとかいう義憤があったのだとしたら、それなりの表情を見せるはずです。

しかし、恨み、悲しみとか、そういう感情が一切ないんです。もうサイコパスの世界です。『悪の教典』の蓮実聖司ですね。

 

そして、堀さんの裏切り行為にみな戸惑いながらも堀さんに銃を向けます。その後、銃声が一発鳴り響き、ドラマは終わります。

最後の銃声一発は、おそらく堀さんが自らを撃ったということでしょう。それが、一番可能性が高いでしょうね。

 

この一連の堀さんの行動、白石さんを撃ってから(おそらく)自分を撃ったという行動の動機がさっぱりわかりません。

ヒント(?)は、この一連の行動が、生けるマネキンとしての堀さんが唯一、自分の意志で動いた、ということです。

素材を集め報酬を得る、素材を集めることができなければ自分が素材になる、危機が迫れば携帯で連絡を入れる、この一連の流れは淡々と決まりに従った結果にすぎません。そこには自分の意志は一切介在しません。

強引に辻褄合わせするならば、不完全なマネキンとしての自分を完全なマネキンにしたかった、ということなのかもしれませんが(動機は相変わらず不明)、でも、まいやんを巻き込む理由が見当たりません。

曲の最後で堀さんが銃を撃つフリがあるので、とりあえずドラマの方も銃を堀さんに撃たせて締めくくりたかったんですかね。まあ、さすがにそれはないか。

 

本筋からずれてしまいますが、安部公房という作家が若い頃に書いた『R62号の発明』を思い出します。

生きる意志を失い、ロボットとなった男が組織の命令に従って「人間が効率的に働けるマシン」を作るのですが、実はそれが殺人マシンだったという、えぐい話です。



まあ、何となく組織の内部事情など、自分なりに辻褄を合わせたつもりですが、最大の謎、ラストの謎はわからずじまいでした。

いろいろ書きましたが、肝心かなめの説明がぐだぐだで与太話みたいになってしまいましたね。

 

与太話ついでに、しょうもない突っ込みを入れたいと思います。

堀さん、その拳銃はどこから出したの、死体だらけになっているはずなのに死体はどこにいったの、白石さん右胸の上あたりを撃ち抜かれていますが撃たれた部位から考えて即死はないですよね、等々。

 

(つづく)