前の記事で36枚目シングル『チートデイ』のオリコンの初日売上に触れて、下がってはしまったものの、初週売上も出ていないのだから、あまり気にしなくてもいいんじゃないか、みたいなことを書きました。
しかし、最近公開された初週売上枚数を見ると、なんだか雲行きがあまりよろしくないような気がしてきました。
乃木坂サイドにも36枚目シングルには期するものがあったのではないかと思うのですが、それが思惑通りにいかなかったように見えます。
個人的には、ここ数枚の表題曲が若干横滑りしていて、いまひとつファンの心をつかめていない気がするので、それについて書こうと思います。
自分は乃木坂を応援している立場ですので、息の長いグループになってほしいとの想いでいろいろと書いているつもりですが、今の乃木坂にそんな要素は皆無、問題なしと思っている方は、不快な思いをすると思いますので、ここでご退出することをお勧めします。
さて本題です。
下のグラフは、26枚目シングルから36枚目シングルまでの初日と初週の売上を並べたものです。元データはオリコンさんが公開しているデータです。
横軸にシングル、縦軸に初日の売上枚数と初週の売上枚数をとっています。
累積の売上枚数をグラフ化できるとなお良いのですが、累積はカウントしていません。
発表される週ごとの売上枚数を単純に積み上げていけばよいので簡単な作業と言えばそうなのですが、まめにデータ収集するほどの時間も熱意もないので、これで勘弁してやってください。
ちなみに、何かの統計で見たのですが、初週売上でだいたい傾向は固まっていて、それ以降の累積データをグラフ化しても傾向はあまり変わらないようです。ですから、だいたい傾向は読めると考えてまず間違いなさそうです。
今回は売上枚数だけですが、本来であれば、YouTubeの再生回数とか、他の坂道グループとの対比とか、別の評価軸があった方がいいですね。こういう記事を書く手前、もう少しデータをそろえた方がいいので、今後の課題として自分の頭に刻んでおきます。
初週売上を全体的に見ると、だいたい50万枚と60万枚の間を行ったり来たりしているような感じです。
29枚目シングル『Actually...』でがくんと落ち、31枚目シングル『ここにはないもの』で上向き、そのあと、少しずつ落ちています。
31枚目シングルは齋藤飛鳥さんの卒業シングルであり、卒業ブーストがかかったというところでしょう。
33枚目シングル『おひとりさま天国』で持ち直していますが、これは5期生の井上和さんがセンターに抜擢され、多分、その話題性もあって上向いたのだと思います。
35枚目シングルはエースの山下美月さんの卒業シングルです。当然、齋藤飛鳥さんのときと同じように、卒業ブーストをかかるはずだったのが、実際にはそうはなりませんでした。先のグラフを見れば、その差は歴然としています。ですから、36枚目では「取り返したい」という想いが乃木坂サイドにあったのではないか思います。
今回の36枚目シングルなのですが、ポイントが2つあるように思います。
- 『おひとりさま天国』の二匹目のドジョウを狙った
- 世代交代をアピール
まず、一点目の二匹目のドジョウです。
曲を改めて見ると、柳の下の2匹目のドジョウを狙ったのではないかという気がします。
何点か共通点があります。
まず、センターが33枚目シングルと同じ井上和さん。去年と同じく夏曲のセンター。当然、今年も出場がかなえば年末の紅白歌合戦で披露されると思います。なぎちゃんを全国区に押し上げたいという運営側の想いもあるのではないでしょうか。
『おひとりさま天国』では「It’ s the single life」というセリフパートが印象的でしたが、今回も「ごめんなさーい」というセリフパートがあります。
それから、やたらとフリが可愛らしいところも似ていると思います。
曲単体で見ると、ラップ調の出だしで今風な感じを出しつつ、サビが非常にメロディアスになっています。サビの部分は、カラオケで合唱が起きそうな場所ですね。カラオケの回数も、NHK年末の紅白歌合戦の選考基準になっているらしいので、そこを狙ったのかもしれません。
二点目のポイントとして世代交代です。
前の記事に書きましたが、36枚目シングルのフォーメーションは、世代交代を前面に押し出したフォーメーションになっています。2019年9月4日発売の24枚目シングル『夜明けまで強がらなくていい』で4期生がクローズアップされたときとよく似ています。
36枚目シングルでは選抜メンバーの約半分を5期生が占めています。
この辺のことは、下の記事に詳しく書いているので、よろしかったら参考にしてください。
乃木坂が息の長いグループとして活動できた要因として、世代交代がうまく機能していることが大きいと思います。それは、メディアでも「世代交代がうまくいっている」、「新陳代謝がうまく機能している」という取りあげ方もされていることから、まず間違いないでしょう。
ですから、今回の5期生の台頭も、乃木坂に勢いを付けるものと考えてよいでしょう。
先の記事でも書いていますが、ミーグリの完売実績という切り口で今の5期生の人気を見ると、3期生、4期生のピーク時のときと同じレベルの人気を長期間にわたってキープしています。そういう高い人気を持つ期生が選抜メンバーの約半分を占めるわけですから、購買意欲を焚きつける原動力になると考えてもおかしくありません。
しかし、今回の売上枚数低下を受けて、すごく嫌な見方をすれば、そういう5期生の「神通力」にも翳りが見えた、と取れなくもありません。
まあ、神通力はともかく、個人的には5期生の台頭が遅かったなあ、という感想を持っています。下の記事では、33枚目シングルのフォーメーションの予想をしています。
この記事で33枚目シングルの選抜で5期生の大躍進を予想していました。人気上昇の切り札として5期生人気を利用するとよいのでは、と書いています。
そのタイミングであれば、5期生のフレッシュさと人気が良い効果を生んで人気が上がり、CD売上も上向くのではないかと考えたのですが、人気上昇、CD売上上昇という面では効果があったかもしれません。
ただ、そうすると、3期生、4期生を押しのける形で5期生が選抜に入り込む形になり、それはそれでグループ内に不穏な空気を作りかねないし、ファンにも抵抗感のある布陣になりかねないので、いわば諸刃の剣のような話です。
いまさら「ああすればよかった」などと騒いでも何の意味もないので、次の潮目の変わりどきを待つのでしょうね。次の潮目の変わりどきとは、6期生加入です。
まとめると、「2匹目のドジョウ」効果と、「世代交代」のアピール効果の相乗効果で売上枚数アップという目論見があったが、実際には当てが外れた、ということになります。
もし、そうだとするとなかなか由々しき事態ではないかと思います。
今回の現象をもう一つの軸で見てみたいと思います。
これは、データで表わすことができない、非常に曖昧な話です。なので人によってまったく受け止め方が違う話になると思います。
なんとなく雰囲気が悪い感じがする、ということについて書いていきたいと思います。
32枚目シングル『人は夢を二度見る』以降、個人的に表題曲が横滑りしていると感じています。この横滑り感、正体を突き止めたいとずっと考えていたのですが、わからずじまいです。
ただ、アイドルにしろ、お笑い芸人しろ、なんでもよいのですが、人気が下降線をたどるときは、言語化できない、そういうぼんやりした感じが作用しているのではないかと愚考します。
35枚目シングルのYouTube再生回数が、アンダー楽曲『車道側』の方が表題曲『チャンスは平等』より上回ったことがちょっとした話題になりました。
個人的には、表題曲が狙いすぎた感があった、というか何を狙っているのかよくわからない感じだったのですが、さりとて『車道側』も突き抜けてよい曲でもないように感じ、まあ、こういう「逆転現象」は一時的なことだろうとあまり大きくは受け止めていませんでした。
しかし、今回の初週売上を受けて、実際はそうでもないのかな、という気がしています。
もしかして乃木坂の運営サイドと「世間」の嗜好との間に乖離が起きているのではないかという気がします。ここでいう「世間」もまた正体不明です。何をもって「世間」と規定してるのか問われれば「うーん、わかんねえ」という答えになります。なんだか奥歯に物が挟まった歯切れの悪い話ばかりになってしまい申し訳ないのですが。
少し視点を変えた話をします。
芸能界のことはわからないので、ついつい会社をベースに考えてしまうのですが、たとえば、会社でプロジェクトを立ち上げる場合、おおまかな方針を立てます。たいていはマーケティング的な要素から入ることが多いと思います。つまり、商売としてのうま味をどうするか、ということが主眼になります。
おそらく乃木坂でも、全体的に見れば、同じような流れになっているのではないかと想像します。
おそらく、マーケティングをかけて何を狙うのかの大まかなコンセプトを作り、そこから徐々に具体的な形に落としていくのではないかという気がします。
つまり、最初のコンセプトで躓いてしまうと結果が出せなくなる、という見方はある意味、正しいのですが、実は現実はそうでもないのです。話がややこしくなってしまうのですが。
よほどコンセプトがあさってなものだったり、現実離れしていない限り、何となく最終的には形になることが多いように思います。
それは、そのコンセプトを受け継ぎ、最終的なアウトプットに至るまでにかかわる人たちがほとんど常識人だからです。その人たちが常識的、現実的な路線で処理してくれるから、何となく形になって出てくることが多いのです。
そして、それがうまく行けば、「やあ、やっぱりあの人は有能だ」と評価が付き、そして「あれがよかった、これがよかった」と後付けでいろいろと成功の理由がくっ付いてきます。
逆にうまく行かないと途端に「戦犯」探しが始まります。誰それのコンセプト作りが悪かったとか、誰それが無能だ、頭が悪い、顔が悪いと非生産的な発言が飛び交います。
自分が見たところ、世の中なんてそんなものです。
もちろん、すごく有能な経営者もいて、倒れかけていた会社を立て直したという例も知っていますが、そういうのは自分が見たところレアなケースではないかと思います。
そんなこんなで、何となく回っている社会ですが、何かのタイミングで歯車が狂いだすと、何をやってもうまくいかなくなります。
そういうときは、何とか立て直そうとあがくというのも一つの手ですが、自分が経験したところでは、いったんチャラにしてゼロから構築し直したほうが、結果的にうまくいくように思います。
もちろん、ドラスティックな転換ですから、流す「血」の量も多くなりますし、それだけ背負いこむリスクも大きくなります。それに、うまくいっているときの記憶が刷り込まれていますから、なかなか踏み出せない一歩ということにもなります。
しかし、いよいよとなればそうも言っていられなくなります。一般の企業でいえば、大量リストラ、経営陣の刷新、とかいうやつです。
まあ、自分が知っている狭い世界で自分なりに見出した法則みたいなもので、これを乃木坂に当てはめること自体に無理があるかもしれません。
とわかったうえで好き勝手に書かせてもらいますが、戦犯探しなどしてもロクなものが出てこないだろうから、雰囲気を変えるために、いっそのこと運営陣と制作陣の刷新とか、選抜制度の廃止とか、ドラスティックなことやった方がいいのではないか、と考えています。
ほかの人からするとラジカルに聞こえるかもしれませんが、かなり前から選抜制度廃止とか、なんだかんだ言っていたのは、いったん下降線をたどり始めると「落ち癖」が付いて、なかなか上向きにできなくなるので、いっそのこと思い切ったことしたほうがいいのではないかとかねがね思っていたことが背景にあります。
まあ、自分でいうのも何ですが、周りから支持されにくい路線だと思います。多分、そこまでの危機感を感じている人は少ないと思いますし、選抜廃止なんて過激な方向に向かって商売成り立つのか、とかいろいろな声が聞こえてきそうです。
アンダー楽曲で積極的に新しい作曲者を入れるなど、いろいろと試行錯誤しているように見えるので、もしかすると乃木坂にも手詰まり感があり、脱マンネリを図っているのかもしれません。
いっそのこと、共演したこともあるMrs. GREEN APPLEさんとかに曲を作ってもらった方がいいんじゃないかなあと考えています。
いま、旬の人に作ってもらったほうが時代のニーズに合うでしょうから。
これから「乃木坂、変わりますー」という雰囲気づくりは大事ではないかなあと個人的に強く思っているところです。