かわや(旧よろずや)のブログ

好きな乃木坂、映画、漫画などについて語ります。

35枚目シングル~山下美月さんの卒業、『車道側』、『「じゃあね」が切ない』

発売からもう一か月経ってしまいましたが、いまさらながら35枚目シングルの収録曲に関するエトセトラを書きます。

 

 

取りあげる曲は、アンダー楽器『車道側』、5期生楽曲『「じゃあね」が切ない』です。

本来テーマにすべき表題曲の『チャンスは平等』ですが、実はこの曲、一回聴いたきり聴いていません。別に悪い曲だとは思いませんが、自分には刺さらず、特にこれと言って書くことがないので、この記事では触れません。その代わりと言っては何ですが、この曲のセンターを務める山下美月さんについて思っていることを書きます。

山下美月さんの話は、本来であれば、単独の記事として書くようなネタなのですが、自分の中である程度、単独の記事としてのぼんやりとしたイメージができないと、まとまった記事として作れないので、とりあえず今の段階で思い付く範囲で、気の向くまま書いてみたいと思います。

 

山下美月さんのこと

 

山下美月さんを一言でいうと「すごい人」です。

いろいろな意味ですごい人だと思います。

 

まず、自身を徹底的に素材として使う、強力なプロ根性です。

際どい言動のみならず、自身の身体のパーツさえ素材として扱い、放送コードに引っかかりそうな(言い過ぎですね)ポーズを取ってみたりと、すごいラインで攻めてくる印象が強くあります。

使えるものは何でも使ってやれという、すごい振り切り方をした人に見えます。

そこまで振り切るのは、自分には手持ちのものがあまりないという、自身に対する自信のなさが根底にあるんじゃないかと個人的に邪推しています。

 

自我肯定感が低いと彼女自身、公言していますが、裏を返せば、非常に高い目標を持っているということなのだと思います。

他人からすれば何もそこまでと思うわけですが、それは持って生まれた性格みたいなものだから仕方のないことだと思いますし、そういう性格は、一流になるための必須条件なのではないかとも思います。

仕事を例に取ると、少なくとも自分の経験上、自分は仕事ができる系の発言をする人で本当に仕事ができる人を見たことがありません。

仕事だけでなく、何事も「できる人」ほど謙虚です。それは、いま自分がどんな位置に立っていて、その先の進むべき道をしっかりと見定めているからなんだと思います。そういう人は口を揃えて自分のことを「自分はまだまだ」と発言します。

美月さんも自分のポジションをしっかり見定めているところがあるように思います。『乃木坂工事中』の第350回「褒めっこグランプリ後編」で齋藤飛鳥さんから「何十人もいるメンバーの中で自分の役割を一番理解しているのは山下」という褒め言葉をもらって泣き始めたことがあります。動画はYouTubeで公開されています。

www.youtube.com

齋藤飛鳥さん、さすがです。ツボを抑えてらっしゃる。これ、図星だったんでしょう。

 

山下美月さんといえば、「あざとい」とか「小悪魔」とかいう代名詞があてられることが多いようですが、言うまでもなく「ビジネスあざとい」、「ビジネス小悪魔」ですね。

その昔、秋元真夏さんが、なりたい顔No.1に輝いたこともある白石麻衣さんの美貌をいじるという、とんでもない暴挙に出たことがあります。それが発端となって白石さんが黒いオーラをまとう「黒石さん」というキャラが生まれました。

秋元さんが白石さんの美貌をいじったおかげで、乃木坂メンバーの関係性がフラットになり(タブーがなくなり、何でもありになった)、また乃木坂的にも「黒石さん」という名物のネタができ、冠番組などのハイライトとして一役買っていました。

初めからこのような効果を狙っていたんだと思います。真夏さん、計算高く、なかなかの策士ではないかと。

 

この辺の策士ぶりを山下美月さんも発揮しているようにも思います。

たとえば、乃木坂の齋藤飛鳥さんとは互いにいじり合う関係になっていましたが、特に美月さんの飛鳥さんに対するいじりはなかなか強烈だったと思います。悪意のある物真似をしたり、飛鳥さんの小顔を揶揄して「豆みたい」と称したり。

それが乃木坂の名物ネタとなっていました。この辺は、秋元真夏さんばりの計算が働いていたのではないかと思います。

というのも、乃木坂の子たちはみんな性格がよく、普通に見ていると清楚な美人ちゃん・可愛い子ちゃんの集まりになります。見ていて華があるのですが、少し平板な感じがします。

そういう絵の中にちょっとしたスパイスとして「ビジネス○○」を演じ切るキャラがいると、乃木坂のグループ全体に厚みができるように思います。

 

美月さん卒業後に、こういう「ビジネス○○」として、活躍できる人材っているんでしょうか。

 

下馬評によると、この路線の継承者は5期生一ノ瀬美空さんになるらしいですね。確かに、そういう素養はお持ちのようにお見受けします。

ただ、彼女、性格が優しすぎるような気がします。果たして「ビジネス○○」になりきれるのか。

瞳孔開きっぱなしのやばい人物を演じるのは得意みたいですが、自分の知る限り、悪意のあるいじりは見かけていないと思います。しいて言えば井上和さんの「なゃぎ」いじりでしょうか。この際、彼女の美貌も含めていじり倒して黒い和ちゃんを発現させてみるのも一興かと思います。

 

いろいろと脱線しましたが、山下美月さんのああいう風に振り切る思い切りのよさには頭が下がります。

つい先日卒業した櫻坂46の小林由依さんとは別のタイプの「プロ中のプロ」という感じがします。

 

彼女の演技力は高く評価されているので、自分もよく目を凝らして見て何がよいのか書きたい気持ちはあるのですが、なかなか彼女の演技を見る機会がありません。

実は前に、彼女が出演する『映像研には手を出すな!』という映画を観たのですが、内容がアレ過ぎて、彼女の演技に目が行かず、しかもその映画が深くトラウマとして心に刻まれてしまい、それ以来、乃木坂メンバー出演のお芝居は観なくなりました。演じる側の問題ではないのですが。

『映像研には手を出すな!』は、原作も面白いし、アニメも面白いし、期待してたんですが、みごとに肩透かしをくらいました。

冒頭、黒澤明監督の『羅生門』のオマージュで「おおっ!」と思ったのですが、何かその後もうグダグダの展開でしたから。演技がどうとかいう以前に、シナリオ、演出がダメダメだと思います。

なので、彼女の演技の印象もほとんどありません。

 

それはそれと割り切って改めて彼女の演技を観てもいいのでしょうが、相当深いトラウマとして刻まれてしまったようです。そのうち深い傷も癒えると思うので、そうしたら彼女を含め乃木坂ちゃんたちのお芝居ときちんと向き合おうと思います。

 

まあ、彼女の演技は世間的に評判が良いようで、彼女、女優さんの道を歩むんですかね、陰ながら応援したいと思います。

なんにしても今までスケジュールをぎゅーぎゅー詰めにしてきたと思うので、とりあえず次の道に入る前にじっくり骨休めして英気を養っていただけたらいいなあと思います。

 

アンダー楽曲『車道側』

 

つい先日、『車道側』の再生回数が表題曲『チャンスは平等』の再生回数を上回ったと話題になりましたね。

YouTubeにアップされている表題曲の『チャンスは平等』とアンダー楽曲の『車道側』の再生回数がデッドヒートを演じ、アンダー楽曲が表題曲を追い抜いたということで一時、お祭り騒ぎみたいになっていましたが、今ではアンダー楽曲が表題曲を追い抜き、若干、突き放しているようですね。

この記事を書いている2024年5月10日午前11時現在で『チャンスは平等』が2,294,773回(2024年4月4日公開)、『車道側』が2,412,093回(2024年3月18日公開)です。

このことについては、快挙と両手を上げてバンザイする人もいれば、せっかくの卒業シングルに水を差すような真似するなと眉をひそめる人もいるようです。

3期生全員選抜入り、あるいは一部の選抜常連組のアンダー異動については、いろいろな意見があるようですが、自分としては特に感慨はありません。

来年の6期生加入を控えて、おそらくこれから3期生の卒業が続くように思いますので、いまはその卒業に向けての花道モードなのではないかと個人的に思っています。

 

それで、YouTubeにアップされている『車道側』のコメント欄を見ると、打倒表題曲を掲げて再生回数を組織的に増やしているように見えますね。

これについても特に感慨はないのですが、意味のあることだとは思っています。

自分たちにとって、自らの想いを乃木坂の運営サイドに伝える機会はすごく限られています。自分たちの聴きたい曲はむしろこっちなんだという意思表示をするという意味では目くじらを立てるような話ではないと思います。

これは、ある意味、選挙と同じですね。

選挙のときに、ニュースのアナウンサーが選挙会場に行くようにさかんに薦めるのは、選挙というものが、日本国民が国政に対してじかに意思表示をできる数少ない機会だからです。

まあ、似たようなものなのではないかと思います。

 

ただ、選抜常連組が合流した今のアンダーを「最高のアンダー」と言うのは個人的にどうかと思います。それは、今までアンダーに全力を尽くしてきた人たちに失礼ではないかと。

 

ついでに言えば、もういっそのこと選抜とアンダーなんていう敷居を取っ払って、チームを2つに分けて順繰りに表題曲を歌うというローテーション制にでもしたらいいんじゃないかと思います。

正直、いまの選抜のフォーメーションを見ていても、あまりメンツが代わり映えしなくて面白味がありません(本来、面白味という軸で選抜を見るものではないのかもしれませんが)。

もし、チームを二分するのであれば、それぞれのチームに人気メンバーを適当に散らせば、商売的な旨味も減らないように思うのですが、どうなんでしょうか。

 

なにか変な方向に話がずれ出した気がするので、歌の話を。

センターは4期生筒井あやめさん。

彼女の歌の特徴は、声質がとても乾いていて、抑揚があまりないというところではないかと思います。

あくまでも印象レベルの話ですが、彼女の歌声を聴いていると、ものすごく現実主義者なのではないかという気がします。

勝手な想像なんですが、彼女、結婚したら生活を堅実に切り盛りし、旦那を尻に敷きそうな感じがします。根拠はありません。既婚者の直感です。

 

曲そのものは乃木坂アルアルの曲ではないかと思います。

確かDメジャーの曲で、ときどきA#が入るというちょっと変則的な音づかいをしていて微妙な引っかかりを作っておき、サビは、Dメジャーの中で一番開放的な音になるAナチュナル(シャープもフラットも付かない音)を中心に展開してカタルシスを創出する、みたいなざっくりとした見方をしています。

一回音を取っただけで記憶を頼りにしているのでアテにはなりません。間違えていたらごめんなさい。

MVもそんなカタルシスを演出しているんじゃないかなと思っています。

MVの最後の方で、他人ばかり写していて自分が被写体になっていない現実を見て落ち込むアヤメさんが、ふとスマホに送られてきた写真に自分が被写体として写っているのを見て喜ぶシーンから間髪を置かずに全員で踊るシーンに移ります。これは、まさにこの曲が持つ独特のカタルシス志向をMVでも表現している気がします。

ちなみに何人かの少人数のグループになってサビを踊るシーンがありますが、みんなで同じ方向を見て踊っているグループ、互いに向き合って踊っているグループ(相思相愛グループ)、互いに逆向きになって踊っているグループ(すれ違いグループ)になってますね。

 

もう一つこの曲で特徴的だなと思うところは、ベースが目立つことです。それで、ベースのラインを追っていくと、8分音符で1オクターブ上の音とセットで上がったり下がったりするところがあります。言葉で説明しようとすると分かりづらいですね。楽譜にします。

 

 

楽譜を見ていただければわかるように、8分音符2つでワンセットになつていて、2番目の音が前の音の1オクターブ上になっています。このセットが1音ずつ上がっていくパターンです。

ちなみに曲をちゃんと採譜した楽譜ではなく、こんな感じの奏法だとイメージしてもらうための譜です。

 

このオクターブのセットで上がったり下がったりする奏法は、ディスコブーム全盛(1970年代〜1980年代)のときのラインを意識している感じがします。

以前、いろいろなバンドでいろいろな楽器をやっていたのですが、古い曲を主に演奏するコピーバンドみたいなバンドでベースを弾いていたことがあります。

それで、こういうベースのパターンを弾いたことがあります。

具体的な曲名は、松任谷由実さんの『Destiny』(1979年)と、ブロンディというアメリカのバンドの『Heart of Glass』(1979年)という曲です。

もしかして、表題曲のディスコ調と年代的に揃えてきたのかも、と思っています。

 

ちなみに『Heart of Glass』という曲ですが、自分の記憶が正しければ、NHKのロックを振り返るみたいな番組で、この『Heart of Glass』が取りあげられていたと思います。

もともとはレゲエ調の曲だったんだそうですが、プロデューサーに言われて当時隆盛を極めていたディスコ調に変えられたそうです。

おそらく、それにメンバーが納得いかなかったのではないかと思います。曲の途中で変拍子になり、拍が一拍足りなくなります。

「むりやりディスコ調に変えられて頭にきた。踊れなくしてやれ」とばかりに一拍抜いたんではないかと。あくまでも自分の勝手な想像ですが。

 

脱線しましたが、『車道側』のこういうアレンジには、表題曲と年代を合わせるという意図もあったのではないかと思っています。

 

5期生楽器『「じゃあね」が切ない』

 

今シングルでも、5期生楽曲が収録されました。これで5期生デビューから7シングル連続です。

 

3期生以降、加入から連続して期別楽曲が連続して収録されるようになりましたが、3期生4期生ともに5シングル連続です(アルバム収録の期別楽曲を除く)。その後、いったん期別楽曲は途絶え、30枚目シングルで3期生4期生の期別楽曲が収録されています。

連続回数でいうと、5期生が最高ということになります。

7曲ともセンターが違っています。期別楽曲のセンターは運営の推しのようですから、すでに7人も推しがいることになります。今更あえて言うことでもないのですが、やはり5期生優遇の匂いがぷんぷん漂いますね。

 

曲自体はレトロ調で、新緑かおる今の季節というよりは、なんか晩秋のそろそろ寒くなってきたかなあ、くらいの季節感の曲です。

哀愁たっぷりの切ない系の曲ですが、ハイライトはCメロでセンターの五百城茉央さんの高音の独唱部分ではないかと思います。彼女、高音が半端なくきれいですね。

 

この曲とは別に彼女、同じ5期生の奥田いろはさんと二人で『サルビアの花を覚えているかい?』という曲も収録されています。この二人、5期生の冠番組『超・乃木坂スター誕生』発のフォークデュオ「カフェオーレ」でもお馴染みのコンビですね。

この曲での二人の掛け合いが美しい。こういう歌で聴かせる曲が収録されていると、ほっこりします。狙った曲とは違う魅力があります。

こういう曲を聴いて思うのは、(少し話が飛躍しますが)つくづく乃木坂のメンバーの自作曲も収録してほしい、ということです。

いや、いい曲を書くことなんてことは求めていません。ただ、乃木坂を他のアイドルと差別化できたらいいな、という思いです。この辺、いろいろな想いが詰まっていて書き出すと長くなるので、別の機会に書きたいと思います。

 

以上、35枚目シングルに関するエトセトラでした。