一年以上前のネタばかり書いているので、たまには旬なネタも書かなくてはという強迫観念に駆られて、33枚目シングル『おひとりさま天国』をネタにいろいろ書くことにしました。
8/10の夜にMVが公開になりましたが、その翌日に2回くらい見ました。そのうえで歌詞とMVを中心に感想というか、考察もどきを書いていきたいと思います。
あんまりきちんと見てないので、データが間違っていたり、後で気が変わって書き直したくなる可能性がありますが、今回は時間優先てことで。
歌詞について
歌詞を読んで思うのは、一言でいうと「恋愛不器用、でももしかして小悪魔?」ですね。
歌詞の全体的なトーンは、「恋愛なんて面倒、だから一人がいい」ということなんですが、そうは言いつつ別のニュアンスのワードが挟まっています。
「恋愛なんて関係ない」と言っているわりに、ジャケ写に映っている表情が吹っ切れているような表情に見えませんね。おそらく「It's the single life」の歌いまわしの可愛さと符合させる形で、こういう表情しているように見えます。
まず、サビのところに挟まっている『Oh my gosh!』(なんてこったい)と『Lonely way!』(寂しい生き方、かな?)。
そうは言いつつも、その考えに落ち着かないという感情を表しているように見えます。
それと、歌詞のあちこちで一生懸命、恋愛の負の部分を強調しているところも、大分強がってるなあという印象がします。言えば言うほど、ってやつですね。
それから2回目のサビの後の歌詞、
『ああ 恋は苦しいことばかり/平常心で暮らしたい/好きになったら大騒ぎ/パートナーいなきゃ問題ない』
いざ恋愛すると、「苦しい」「大騒ぎ」ってことなので、付き合ったら恋愛一色、おそらくかなり一途な性格なんじゃないかなと思います。
地に足が付いていないというか、自分自身が確立できていないというか、そんなせいで、恋愛したらそれに飲み込まれて自分ではなくなってしまうことに恐れを抱いている、って感じでしょうか。
自分自身を確立する、なんて偉そうに書きましたが、これはなかなかの難題です。年齢を重ねたからって達成できるもんでもないので、違う表現の方がよかったかな。
まあいいや。
その後の歌詞に『もう振り回されないよ』、(恋愛しなければ)『本当の自分でいられるから』などと言っていますが、そうやって振り回されているのも「本当の自分」という自覚が抜けてますね。というか、そういう自分を認めたくないので、敢えて目をつぶっているのでしょう。
1番目の歌詞の『憧れとは恐ろしい/なんだか寂しくない/むしろ最高、戻れない』という歌詞がありますが、「戻れない」と言っているので、過去に付き合った男性はいたんじゃないかと思います。
恋愛恐怖症に陥ってしまった理由は、付き合った男がとんでもないやつだったか、理想が高すぎて現実とのギャップに幻滅したかのどちらかだと思いますが、「憧れとは恐ろしい」と言っているので多分、後者なんでしょう。
ここから見えてくる人物像は、自分自身が薄くて、恋愛するとそれに飲み込まれて自分を喪失してしまうことへの怯えがあり、恋愛に対する期待値が高くて、いざ付き合ってはみたものの、期待とは大違いで幻滅し、恋愛の負の部分ばかりに目が行くようになってしまった、というように見えます。
みんな、そんな失敗を繰り返しながら、右往左往しながら自分との付き合い方、他人との付き合い方の落としどころを探っていくわけですが、この歌詞から察するに、そこまで行き着くには道のりが遠そうなので、恋愛経験は少ないように見えますね。
もしかして、前に付き合っていた男性は一人きりで、そこで理想と現実のギャップで幻滅した、というところかもしれません。
まあ、こうしてみると、一所懸命強がっている可愛い女性、という見方ができるわけです。
そりゃそうですね。アイドルグループが「脱恋愛路線」を打ち出すわけはないでしょうから。
おひとりさまが多い現代的な世相を取り込み、そしてもしかしてリアルな和ちゃんの性格(あんまり器用でないところとか、理想が高いところとか)も取り込み、みたいな歌詞なんでしょう、きっと。
個人的に引っかかっているところは、もしかして、それもポーズなんじゃないのか、というところです。
考えすぎかもしれませんけど。
サビに入っている『No thanks!』(いいえ、結構=構わないで)、1回目のサビ前の『もう大丈夫よ/放っておいて』というところなんですが、誰がちょっかいかけてくるのか、というところが少し引っかかっています。
女友だちが心配して、たとえば合コンに誘ったりしているのか、という状況もありありなんですが、もしかして男性からの誘いのような気もするんです。
というのも、(話が少し飛躍しますが)プールのジャケ写に映っている和ちゃんの顔が少し物欲しそうな顔というか、少し憂いがある顔をしているのと、(全部通してまだ見てないですが)ダンスがやたら可愛くて、実はめちゃめちゃ媚びているんじゃないか、という疑念が首をもたげるんですね。
もし、そんな風に実は媚びているのだとしたら、言い寄ってきても絶対に振り向かないという人物像になります。
今までの人物像が180度ひっくり返って、とんでもない小悪魔、ということになります。
MVについて
MVは、歌詞とは直接関係なくて、「おひとりさま天国」というワードを切り出して展開したような世界です。
しいて歌詞との関連性として挙げるなら、「確立できていない自分」、「不器用さ」がMVの中でも継承されている感じもしますね。
遊び心に溢れていて、おもちゃ箱をひっくり返したような世界ですね。
曲のわちゃわちゃしている感じとよくマッチしていると思います。
MVは、引っ越してきたはいいが、ちっとも片付かないダンボールを前に途方に暮れる、そんなシーンから始まります。
設定はおそらく4月から一人暮らしを始めた大学一年生、あるいは社会人一年生じゃないかと思います。もちろん、夏に引っ越してきたばかりという可能性もあります。
しかし、このMVの中では和ちゃんが、実に不器用な人間を演じているので、そんな感じがするんですね。
4月に越してきて、夏(蝉の声がしています)になっても、ちっともダンボールが片付かない、という状況がぴったりはまります。
同じ5期生の証言によると、リアルな和ちゃんの部屋もあまりきれいでない、ということなので、その辺も盛り込んでいるのかもしれませんね。
で、さんざん悩んだ挙句、現実逃避に走ります。
空のダンボール箱を覗き込むと、おひとりさま天国の世界へ、という展開ですが、ダンボールがまったく片付いている様子がなく、空になっているダンボール自体がないはずなので、その行為からファンタジーの世界が始まったってことですね。
おひとりさま天国の世界に落ちて(天国なのに落ちる?)、目を開けると白い部屋(ボックス?)の入っている自分に気づいてというシーンから、天国の中での話になります。
カラフルなボックスが見える中、白いボックスに白い服を着た和ちゃん、これは何色にも染まっていない和ちゃんを表しているようです。
で、ここに出てくる人など、もろもろ総称して天国村と称することにします。字数を少なくしたいんで。
天国村では、他の乃木坂メンバーがボックスの中でよろしくやっています。
本人の趣味趣向、それから乃木坂工事中のネタなど、さまざまですね。
これ、制作サイドが各メンバーに何やりたいのか募ったんじゃないですかね。何でも私物の持ち込みもありだったそうなので、そんな気がします。
天国村にやってきた和ちゃんにとっては、各メンバーのボックスは自分の可能性なのかもしれません。
それと、ボックスですが、これ、収納ボックスに見えますね。ちゃんと片付けられない和ちゃんを揶揄しているのかもしれません。
で、和ちゃんはボックスの中の人とコンタクトを取ります。「ここはどこ?、あなたたちは誰?」みたいな話をしているでしょうが、山下美月さんと久保史緒里さんが天国村の案内役を買ってくれます。
天国村の様子は、すべて和ちゃんの心象風景を表しているように見えます。
3回出てくるパフォーマンスシーンがそれを如実に表している感じがします。
まず、1回目。
天国村を囲むようにパフォーマンスを繰り広げます。
ここで注目ポイントは、天国村の外を囲んでいること、それからその周りを囲む白い線です。
これは、和ちゃんがまだ天国村の外にいる、つまり馴染んでいないことを表しているんだと思います。
それから周りの線ですが、これは和ちゃんが自分の殻を破れない状態にあるとか、世界の捉え方の狭さを象徴しているように思ったのですが、実は2回目、3回目のパフォーマンスでも形を変えて出てきていて、3回目では自分の殻を破ったように見えたので違うかもしれません。
まあ、1回目よりも2回目以降の方が、枠が広がったようにも見えるので、そういうことなのかな。
ちなみに、MVの監督は伊藤衆人さんとのことですが、この方、2期生楽曲の『アナスターシャ』でも同じことやってます。木組みの枠の中で2期生一人一人がパフォーマンスするという。それも何か意味ありげなんです。
2回目のパフォーマンス。
天国村のレイアウトが変わっているみたいです。天国村のボックスの配置が変わって、中央に大きな広場ができているように見えますね。
それから1回目のときの白い点線が、梯子みたいな形状になっています。
中央広場でパフォーマンスを繰り広げます。
天国村の中に入った、つまり天国村に馴染みつつあるということを表しているのだと思います。
しかし、この時点では、周りの村民が善意でくれる「おひとりさまお楽しみグッズ」を断れなくて、全部受け取ってしまい、和ちゃん荷物いっぱいで大変なことになってます。
まだ「おひとりさま」としてのアイデンティティは確立できていない状態を表しているようです。
3回目のパフォーマンス。
基本レイアウトは2回目と同じ。着ているものが違ってます。
大量になった荷物、気重ねして重たくなった服を脱ぎ捨ててパフォーマンスに興じます。
この時点で、やっと振り切れて村民としてのアイデンティティを確立させようという段階に入ったことを表しているようですね。
これで例の白いボックスも和ちゃんカラーで染まるってことでしょう。
めでたし、めでたし。
付け足し、センターの話
29枚目シングル『Actually...』に収録されている5期生紹介の動画で、井上和さんの紹介のされ方が結構、印象的です。
動画の冒頭に後ろ姿、横顔のショットが続き、なかなか正面の顔を見せないんですが、さんざん気を持たせた挙句、顔正面が映ります。明らかに他のメンバーよりも引っ張った演出になっています。
「この子で売るからね」という意図がみえみえで、運営サイドの荒い鼻息が聞こえてきそうな感じです。
その鼻息の勢いに乗って、最初の5期生楽曲でセンター、32枚目シングルで裏センター、かっきーとさくちゃんとセットにして事実上のエース扱い、そして33枚目表題曲でセンターとあいなりました。
やや性急ともとれる表題曲センターへの道のりですが、単純に和ちゃんの美貌やパフォーマンス力だけでなく、そうしなくてはならない事情があったのではないかとも思えます。
巷でよく言われていることだと思いますが、3期生の卒業ラッシュがいつ始まってもおかしくないこと、そうなると今のエース陣では手薄になること、というところだと思います。