町田で一押しのラーメン屋さん、第二弾ということで前回の予告どおり「八十一番」さんのレポを書きます。
同じく町田にある「パパパパパイン」という、スープにパインが入るという変わり種、しかも店名がめちゃくちゃ色物っぽいラーメン屋さんの派生店です。
しかし、「八十一番」さんには色物の要素がまったくありません。
うまみ塩そばを細麺(細麺と中太麺から選択できる)でいただきました。940円なりです。
写真を見てわかるように、上品な感じのラーメンです。
スープはもう貝、貝、貝という感じ。貝がめちゃめちゃ目立つセッティングになっています。ですからぱっと見(ばっと飲み)は、貝と塩だけで組み立てた、という感じがすごくするスープです。
とはいえ、動物系、魚介系もうっすらと存在しています。かなり控えめな存在で、スープの底面をさりげなく支えている感じです。
表面に浮いている油が多く、なんでも貝のエキスが入った油らしいです。そのせいか、香りも味も貝尽くしという感じです。油っぽいのが苦手な人は、やや胃もたれすると思います。
麺は細麺を選びました。麺肌が滑らかで、食感も歯切れがよく、上品な麺です。スープとの相性もばっちりだと思います。
具はチャーシュー、えのき(揚げ?)、芽ネギ。
チャーシューは薄味、ほろっとした鶏チャーシューと、焼豚風の豚チャーシューが二種類入っています。
えのきは揚げているのかな、独特の粘りのある食感がして面白いです。
冷めた目で見ると、いかにも名店風の設定が目立つ店でもあります。前に食べたときの感動が薄れてきた今となっては正直、「いぶし銀」さん(後述)の方が美味しい気もしてくるのですが、こうやって推しの店として食べちゃった以上、まあいい、ということにしておきます。
そのうち、「いぶし銀」さんにもおじゃまし、レポを書きたいと思います。
せっかくですので、ラーメン激戦区と言われる町田の「黄金期」について書きたいと思います。
町田ラーメン黄金時代について
町田に一時期、個性的なお店が群雄割拠している期間があり、バリエーションが多くて、どこに行くのか選ぶのが楽しかった時代があります。
「胡心房」、「ROCK'N ROLL ONE」、「圓」とか本当に名店と言っていいお店が軒を並べ、まさに群雄割拠している、という時代でした。今から10年くらい前だったと思います。
どれも個性的なお店で、何度でも通いたいと思わせるお店だったのですが、どんどんお店が閉店してしまい、いまや、そういう個性店の唯一の生き残りが「いぶし銀」さんです。
この機会に、そんな黄金時代を飾ったお店をご紹介しようと思います。
胡心房
もともとはテレビの企画番組「貧乏なんちゃら」みたいなタイトルの番組の企画で生まれたラーメン屋さんです。
東京の稲城市で営業していたお店だったのですが、そのお店の娘さんが独立し、町田に店を構えたと記憶しています。
健康志向のお店で、動物系特有の脂分を極限まで取り除き、コラーゲンたっぷりの美容にもいいラーメンでーす、という謳い文句だったと思います。
女性向けのラーメンということで、店員さんも全員女性です。
2006年7月11日に訪問したときの写真を貼っておきます。「らぁめん」(650円なり)です。
店主さんが何年か前にこのお店を手放した後、営業していなかったのですが、どこかの資本系の会社が2020年にお店を引き取り2022年まで営業していましたが、それも閉店し、いまでは別のラーメン屋さんになっています。
ROCK'N ROLL ONE
相模原にあった「キリン食堂」という名前のラーメン屋さんから独立して作ったお店です。もとは町田駅の繁華街方向とは逆の出口(相模原市)を出て、少し歩く場所にあった店ですが、
町田市側のラブコールが実り、町田駅近く(町田駅の駅ターミナル)に引っ越ししたお店です。
相模原時代は行列が長かったのに、町田に移ってきたとたん行列がなくなるという変な現象が起きましたが、なんでしょうね、レア感がなくなったからでしょうか。アクセスは圧倒的によくなったはずなのに行列がなくなるという謎な現象でした。
店長さんのロックンロールな湯切りが素敵で、店内の内装、出しているラーメンを含め、なかなか個性的なお店でした。
相模原時代に訪問したときに食べた「2号ラァメン」というメニューがすごくて、鶏、醤油(町田にある岡直三郎商店が出している醤油)、鶏油だけでまとめましたみたいな、男気溢れるラーメンでした。
しばらくして東京の赤坂方面に移転し、その後、関西に移転しました。赤坂移転の数日前にもお伺い、お店の人にことわってラーメンの写真も撮り、記録もとっていたはずなのですが、どこにいっちゃったんですかね、見つかりませんでした。
火の国
熊本ラーメン系のお店です。
相模原にあった伝説のお店「大石家」で修業した方が出したお店です。
「大石家」という名前からは家系のお店を連想すると思いますが、れっきとした熊本ラーメンのお店です。店長さんが名物店長で、マシンガントークで有名な方です。自分もマシンガントークの餌食になり、一時間以上、店長のおしゃべりに付き合いましたが、話があまりにも面白すぎてずっと腹を抱えながら笑っていました。
「大石家」さんのラーメンは、熊本ラーメンにチーズ入り、トマト入り、とすごい変化球なのですが、めちゃめちゃ合っています。そういう具を入れた経緯、どこのチーズが一番とかいろいろとウンチクを聞いたのですが、もうほとんど覚えていません。惜しまれながら閉店後、何年か前に店主さんはお亡くなりになっています。
何にしても、具が全部入りの状態で600円(2009年6月19日当時)と、当時としても破格のお値段です。ご本人も儲けを度外視している、とのことでした。
さて、本題の「火の国」さんです。さすがに「大石家」出身とあって、お店の中にいろいろな飾り物があって個性的な店内です。
確か、麺にワカメを練りこんだ、とかそういう変化球入りのラーメンを出していたと思います。ただ、ラーメン自体は、ひねった要素はほとんどなく、どちらかというとオーソドックスで優しい感じのラーメンでした。2005年3月26日時点の写真(メニューは「ラーメン」、650円なり)を貼っておきます。
お店の名前を「はじまるBy」と変え、最近は居酒屋になっていたと思います。いまでもラーメンを出しているかどうかは未確認です。
圓
記録に残っていないのですが、記憶にしっかりと刻まれているお店です。煮干しが強く出たラーメンを出すお店で、いたずらに煮干しが強く主張するだけでなく、全体的なバランスが非常に高いラーメンでした。冗談でなく、毎日通いたいと思ったお店です。
町田にお店を出している期間は短く、ほどなくして八王子に移転していました。何年か前に移転後のお店に行ったのですが、店員さんが変わっていて、もはや町田時代のキレはありませんでした。
いぶし銀
町田で長く経営しているお店では、自分が知っているだけでお店の名前が三回変わっています。今は「いぶし銀」という名前です。
メニューもなかなか変わっていて、「GTターボ」とか「ジャパン」みたいな名前のメニューを出しています。
お店の雰囲気も、ラーメンも少しクセがあるのですが、はまると常習化しそうなヤバさを持っているお店です。
町田の個性派ラーメンの中で唯一、現在も営業しているお店です。
こちらのお店は確か記録があったはずなのですが、見当たらないので食べた感じとか、ラーメンの写真とかはありません。
まあ、来年、気が向いたらお店にうかがうかもしれません。
以上、三回にわたり、町田のラーメン事情シリーズをお届けしました。